こんなに好きなのに...
無知だったアナタの事。

”醤油は赤い”
2017/03/06

醤油絞り@千葉鴨川
以前から農業のお世話になっている方と醤油絞り。
今回のお相手(アナタ)は「醤油」
 
味噌作りの時にお試しで醤油をいただいたのですが、それがもう美味しくって醤油作りにも参加したいと思っておりました。
 
今回は鴨川のカフェの軒先で焚き火をして湯を沸かす。船と呼ばれる醤油絞り器で2年ものと1年ものを絞ります。
 
本格的なのは樽ですが、樽はメンテナンスが大変(ですよね…)だそうで、桶に仕込んだ1年ものタネ50kgくらいを運び出す。大豆と麦を使ってペースト状に発酵したもろみにお湯を少し入れながら緩める。


 
まさかお湯を足すなんて….。自分の醤油イメージでは、発酵したもろみを絞ってできたのが醤油かと思ってた。もちろんそのやり方でやっているところもあるかもしれないけど、希釈することもあるというのは驚きだった。これは無添加だから塩分が多めで辛いという事もあるそう。


 

程よく緩んだら布製の袋に少しずつ詰めて船に入れていく。ポイントは空気を抜く、平らにする。詰めている先から、出し口から醤油がわき出てくる、これがいわゆる「生醤油」(なましょうゆ)。市販されている醤油は、これを火入れ(加熱処理)して発酵を抑制し、保存が利く状態になったものをいう。

ちなみに生醤油『きじょうゆ』と生醤油『なましょうゆ』は別物。
きじょうゆは、火入れあり+ろ過あり
なましょうゆは、火入れ無し+ろ過あり
です。
要するに良くみる市販の黒い醤油は『きじょうゆ』
『生 なま』が付くのが火入れ無し。
 
今絞り出した”生”(なま)は、完全に生き物。
なので放置すればあっというまに発酵が進み黒くなるし、カビも生える。なるほど流通しないわけだ、こんなに旨いのに。。
 
加熱処理というのはわかってるけど、醤油を火に掛けるということ自体が目の前にすると衝撃的だった。身近で大好きな調味料である醤油ですら詳しいことを何にも知らなかったという無知さに愕然とする。
 
この日は天気もよく、絞りたての醤油は赤い琥珀色にキラキラしておりました。
もちろん最高に旨い、旨すぎる、もう別次元の旨さ。そして本当に透き通って綺麗。


 
感動していると、なにやら奥からトレイが登場。。鰹のたたき!
これに生醤油をかけて食べるとは何と贅沢な。惜しげもなく生醤油をかけて!!!!!


  
持ち寄った食材に醤油をかけてお昼御飯。もう最高、シンプルなのに醤油だけでうま味が深い。鰹のたたきも絶品。やはり刺身とか、とろろとか、ダイレクトに味わえる料理が良いみたいですね。うま味が深いのでこれをペロっと舐めるだけで酒が飲める。


 
お手伝いしていた1歳ちょっとのお子さんもお昼寝タイム。

この家族は本当に素敵な育て方をしていて、とてもタフな感じ。転んでも過保護にせず。「はいはい、大丈夫ですよー」と声をかけるだけ。本人も初めはグズりますが、数秒後にはケロっとしておりました。人間って強いのよね本来。そんな子も豪快にも軒先の庭で大の字。僕の寝床は”地球”と云わんばかり。これもなんか素敵。参加しているみんなに見守られて。


 
さて、作業の続き。次は2年もの。
発酵状態はやや酸味が立っているようでしたが絞ってみると1年ものより明らかにまろやか。塩分はもちろん強めなんだけど、その先にはうま味が上品に深くある。麹の力って凄いなぁ。。
 
絞った醤油を火に掛けて80°くらいまで加熱すると、とにかくアクが凄い取っても取っても出てくる。最終的にはちょっとカラメルっぽいアクが出たら終了。
 
絞り器にかけた袋はぺちゃんこになって、絞りかすを取り出して洗浄。水が冷たい!麻痺したら無双状態。目が覚めるぜ。朝から夕方までびっちり作業でヘロヘロ。
でも何か清々しい。
 
米、小麦、大豆、味噌と来て新たに醤油のことを知れたし、またこの有り難みを感じる体験というのは貴重でございました。
 
帰りは渋滞がいやなので、お決まりの金谷港から船で久里浜へ。船の旅って感じが変わらずドキドキする。ちょっと焚き火で燻されたので横須賀の湯楽の里で温泉&岩盤浴。仮眠をとって帰宅したとさ。
 
 
 
そして、最後にもう一度だけ云おう。
”醤油は赤い”